空き家が映し出す
「まちの今」
全国的に空き家数が増加しており、総務省統計局が2023年4月30日に発表した「住宅・土地統計調査」によると、国内の空き家は900万戸と、2018年(849万戸)と比べ、51万戸の増加、空き家率は約13.8 %で過去最多となっています。
三島市でも、地域の人口減少・高齢化が進むなかで、空き家が目立つ風景が増えてきています。
「もともとは人の暮らしがあった場所」が静まり返っていく。
空き家があるということは、まちの変化を映しているとも言えます。
空き家を“負の遺産”と捉えるのではなく、“未来の資源”に変える視点が、今の三島には求められています。
三島市における
空き家の実態

三島市の調査によると1988年(昭和63年)から2018年(平成30年)の30年間で空き家総数は約1.8倍に増加し、空き家総戸数は7,570戸となりました。

また、三島市内の住宅総数に対する空き家率は年々増加し全国平均を上回る14.5%となっています。これは、7戸に1戸が空き家という水準です。
すでに不動産は十分余っている状況が見えてきます。
特に、郊外エリアだけでなく中心市街地から近い住宅地や旧商店街でも、長期間住まわれていない住宅や活用されていない店舗が散見される状況です。
また、所有者の多くが市外・県外に居住しており、「管理が難しい」「売却・活用の手続きが分からない」という声も少なくありません。
参考:三島市空家等対策計画
なぜ空き家は生まれるのか


空き家増加の背景には、以下のような複数の要因が重なっています。
・人口減少と高齢化
三島市に限らず地方都市では、若い世代の流出・少子化が進み、親世代が高齢になることで実家が空き家化するケースが増えています。国立社会保障・人口問題研究所の予測によれば、三島市の人口は2045年には約84,984人となる見込みで、1975年ころとほぼ同規模となるという報告もあります。
三島市では、2030年までに家を買う30歳代が1,800人減る一方で、75歳以上が3,100人増加します。1970年代に家を購入した世代が高齢化し一斉に売却を検討する時期を迎えており、若年層の減少と高齢者の増加により、空き家は今後さらに増え続ける見込みです。

・相続・登記・管理の手続きの遅れ
親が亡くなった後に名義変更が行われず、複数の相続人がいると管理が停滞し、空き家が“放置された住宅”となることが多いです。「誰に相談すればいいか」が分からない“相談先不在”も問題です。
・再生・リフォームコストの高さ
築古住宅では耐震補強・水回り改修・外装補修などのコスト負担が大きく、「活用より解体・放置」という選択をされるケースも聞かれます。
・地域との心理的距離・管理の難しさ
所有者が遠方に居住している場合、定期的な点検・清掃・周囲対応が難しく、空き家が見過ごされやすくなります。
これらの要因が複雑に絡み合い、三島市の空き家増加を後押ししていると言えます。
三島市が直面する課題

空き家が増え続けると、まちには次のような影響が生じます。
・景観・防災・衛生面の悪化
老朽化による倒壊・火災リスク、雑草の繁茂による害虫発生、空き敷地の視界暗化など。これらは地域住民の安心・安全を損ねてしまいます。
・文化的価値の喪失
三島市には宿場町・湧水といった歴史的背景があり、木造住宅や蔵など文化的価値の高い建物が残っています。これらが“放置”されることで、まちの記憶が徐々に失われています。
・地域の空洞化・コミュニティ力の低下
空き家が増えると、その地域に人が集いづらくなり、交流が減少。見守り・防犯・地域コミュニティの力が弱まることも懸念されます。
三島市の空き家率14.5 %は、全国的に見てもそれほど高い水準ではないものの、地域によっては集中しやすく、“点”として問題が生まれることで“面”へと広がるリスクがあります。
動き出す“空き家再生”の取り組み

しかし、三島市では確かな希望の兆しも見えています。
例えば、古民家カフェ・アトリエ・学生滞在施設など、空き家を再生し新しい価値を生み出す動きが広がっています。
当社、三島市空き家活用ラボでは、以下のようなサポートを通じて空き家再生に取り組んでいます。
「古民家さんぽ in 三島」:古民家や空き家を巡るガイドツアー、地域の人との交流を通して三島の魅力再発見。
「空き家コンシェルジュ」:所有者の想いや物件状況を丁寧にヒアリングし、最適な活用プランを共に考える相談窓口。
「見守りサポート」:遠方の所有者でも安心して管理できるよう、定期点検・清掃・報告を実施。
一軒一軒の建物に対して「壊す/放置する」の選択肢だけでなく、“地域と人をつなぐストーリー”としての再生を提案しています。
これからの三島市に必要なこと

三島市の空き家を“未来の資産”として活かすために、次のような取り組みが今必要です。
・行政・地域・民間の連携強化
空き家情報を可視化し、所有者・地域住民・専門家が共有できる仕組みづくり。
・若い世代や移住者との協働
学生や移住者が空き家を活用できる場として活用し、まちに新しい息吹を吹き込む。
・デジタル・ITの活用
空き家マップ、オンライン相談、AI査定など、空き家情報のアクセス性を高める。
・文化・歴史を活かした活用
古民家・蔵・旧店舗などの価値を認め、“壊す”のではなく“活かす”文化を育てる。
これらを実現することで、三島市のまちは“空き家が増えるまち”ではなく、“空き家が活かされるまち”へと変わっていきます。
空き家を未来の資産へ
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空き家は単なる“問題”ではなく、その建物には家族の思い出や地域の歴史が宿っています。
少しの手入れと視点の転換で、まちの中で新しい価値を生み出す“資産”となり得ます。
三島市空き家活用ラボは、空き家の診断から活用までをサポートし、
一軒一軒の建物が持つ可能性を引き出します。
空き家は、終わりではなく、はじまり。まちの記憶を未来へつなぐ、その第一歩を、私たちと一緒に踏み出しましょう。











