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パンを選ぶ女性の手元 パン屋さん クロワッサンとその他のパン。三島市空き家活用ラボ​

課題に気づいた原点

私たちが「空き家の活用」というテーマに向き合うきっかけとなったのは、日常の中に潜む小さな違和感でした。

子どもの頃から学校帰りに必ず立ち寄っていたご夫婦で営まれていたパン屋さん。

温かい笑顔と焼きたての香ばしい匂いに包まれたその店は、地域の子どもや大人たちの憩いの場でした。

しかし、ご主人の体調不良をきっかけに閉店してしまい、店は空き店舗のまま時間が止まったように静まり返ってしまいました。

思い出が詰まったその場所が、ある日突然「空き家」になってしまう現実に直面し、強い寂しさを覚えました。​

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結婚を機に三島へ戻ってからも、その思いはますます大きくなっていきました。

夏祭りで帰省するたび、かつて賑わいであふれていた通りには、シャッターを下ろしたままの店舗や人の気配を失った住宅が目立つようになっていたのです。

幼い頃の記憶に残る「活気ある三島」と、目の前に広がる「静まり返った三島」。その対比は、私たちにとってまちの未来を考える大きな原点となりました。

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立ち上げのきっかけ

​転機が訪れたのは、空き家を持つ浅野さんからの相談でした。

120坪という広い敷地に建つ古い家を先代から引き継いだもののどうすれば良いか迷っている、という内容でした。

これまで浅野さんは不動産会社やハウスメーカーに相談してきましたが、返ってきた提案はどれも「解体して敷地を4つに分けた分譲地にする」というものでした。

確かにそれは効率的で不動産会社やハウスメーカーにとって利益を得やすい方法ですが、そこには建物に込められた想いや三島の歴史を大切にする視点はありませんでした。

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私は実際に敷地へ足を踏み入れました。10年以上放置されていたため草木が生い茂り、まるで小さな森のようになっていました。

 

その奥に佇んでいたのは、築90年を超える古民家でした。中に入ると、立派な梁や土壁が今も力強く残り、縁側から見える庭には人々の暮らしの温かさが感じられました。

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「これを壊してしまうのは惜しい。」心からそう思いました。

 

さらに、浅野さんからは「思い出があるので、できれば壊さないで活用してほしい」という言葉も聞きました。その言葉は、空き家を「不動産業」としてだけ捉えることの限界を示していました。

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建物は人の歴史と感情が宿る場所であり、単純な数字や効率だけでは解決できない存在なのです。

 

この経験が「空き家を活かす道を探したい」という強い決意につながり、三島市空き家活用ラボの立ち上げへとつながっていきました。

初期の挑戦

とはいえ、最初の一歩は決して華やかなものではありませんでした。

まず始めたのは、地域の住民と協力した草刈りや清掃、片付け作業でした。

 

人が集まって汗を流し、ほこりを払い、光が差し込むだけで、建物がまるで呼吸を取り戻すかのように感じられました。

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その瞬間、「まず動けば必ず変わる」という手応えを得たのです。一方で、改修に向けた資金調達は大きな壁となりました。

金融機関からの融資調達には想定以上の時間と手間がかかり、改めて「空き家改修の資金計画は簡単ではない」という現実に直面しました。

 

それでも諦めずに調整を重ね、少しずつ前へ進めていきました。

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そして、初めてオーナーと利用者をつなげ、活用が実現した瞬間の喜びは忘れられません。

 

オープンイベントの日、多くの住民が訪れ、「この建物が生き返った」と声をかけてくれました。

 

空き家が再び人の笑顔で満たされ、地域に活気が戻る姿を目にしたとき、私たちの活動がただの試みではなく、まちの未来に必要な取り組みであると確信しました。​​

大切にしている想い

私たちは、空き家を「負の遺産」ではなく「地域の資源」として捉えています。

​空き家が活用される成功事例に触れるたびに、その可能性を強く実感しました。

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片付けの過程で出てくる古い家具や写真、使い込まれた生活道具。それらはかつての暮らしの証であり、ただの不用品ではなく、物語そのものでした。

 

空き家は取り壊すものではなく、次の世代へとつなげるべき「資源」だと感じるようになったのです。

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また、地元の人々から「三島の古い景観を守りたい」という声を数多く耳にしています。

 

三島のまちは、豊かな湧水とともに歴史を刻んできた地域です。古い町並みや文化を残すことは、単なるノスタルジーではなく、まちのアイデンティティを守ることでもあります。

 

空き家活用は文化の継承そのものであり、地域の誇りを未来に届ける取り組みであると、私たちは考えるようになりました。

これから描く未来

私たちが描く未来は、空き家が「人とまちをつなぐきっかけ」となる三島です。

例えば、移住者が古民家を住まいに変え、新しい暮らしを始める。若者がリノベーションした空き家を拠点に仕事や文化活動に挑戦する。

 

地域の人々が自然に集まり、会話や交流が生まれる。そんな一つひとつの体験が積み重なり、「三島に住む人」「訪れる人」「関わる人」すべてがこのまちを好きになっていく未来を描いています。

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空き家は単なる建物ではありません。

そこには人の記憶や歴史が息づいており、それを活かすことで、まちは新しい表情を見せます。

 

壊すのではなく活かすという選択が、地域の安心や安全を守り、経済を循環させ、文化を継承し、未来を育てるのです。

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三島市空き家活用ラボは、一軒一軒の空き家に眠る可能性を引き出し、まちの未来を形づくっていきます。

私たちは創造しています。

 

空き家は負担ではなく、誇りとなる。空き家があるからこそ、新しい出会いがあり、次の物語が生まれる。
そして、空き家を通じて三島がもっと好きになれる未来が広がっていくことを。

三島市の空き家問題とは?

私たちは、空き家を“まちの変化を映す鏡”と捉えています。
三島市で増え続ける空き家の現状や課題、そして再生の可能性をまとめました。

錆びついた古い車とバイク。空き家活用ラボの駐車場。三島市空き家活用ラボ​

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