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小さなアパートをまちに開くという選択

三島市壱町田。

かつて住居用として建てられた築35年の軽量鉄骨アパートが、長年の空き家状態を経て、新たに「街にひらかれたカフェ」として再生しました。


所有者の南部さん(70代)は、神奈川県藤沢市にお住まい。

この建物はご主人とともに三島で暮らしていた頃に所有されたもので、もともとは地域の方々に貸していた小さなアパートでした。

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若い頃には定期的に訪れて清掃や草刈りをしていました。

しかし、歳を重ねるにつれ、車で三島まで管理に通うことが難しくなり、いつしか建物は人の出入りがなくなり、雑草が伸び放題になってしまいました。

気づけば、角地の目立つ場所でありながら昼間でもどこか薄暗い印象に。

 

近所の方からは「草が生い茂って通学路として危ない」「夜になると少し怖い」と心配の声も上がるようになりました。

 

壱町田の中心を通る人通りの多い道路沿いという立地が、かえって寂しさを際立たせていたのです。

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南部さんは、「このまま放っておくわけにもいかない」と感じながらも、どうすれば良いのか分からずに悩み続けていました。


そんなときにご近所の知人から紹介されたのが、私たち三島市空き家活用ラボでした。

初めてご相談いただいたとき、南部さんは静かな口調でこう話されました。
「壊して更地にすれば楽かもしれないけど、主人との思い出もあるし、できることなら誰かに使ってもらいたいんです。」

その言葉から、私たちは“ただの老朽化した建物”としてではなく、「家族の思い出と地域の記憶を受け継ぐ空間」として、私たちが引き継ぐ(買取る)ことを決めました。

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現地調査を行うと、構造的にはしっかりしており、手を入れれば十分に活用できることが分かりました。


また、人通りの多い角地という立地条件を活かせば、建物を“街に開かれた場所”に変えることができると感じました。

南部さんもこの提案に共感され、「地域の人が集まれる場所にできたら嬉しい」と笑顔を見せてくださいました。
こうして、「収益性」と「地域貢献」を両立させる再生プロジェクトが動き出しました。

私たちがが感じたこと

リノベーションの第一歩は、外構の整理から始まりました。

長年成長し続けていた背の高い樹木や古いフェンスを撤去し、外から中の様子が見えるひらかれたファサードに刷新しました。

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人通りの多い道路に向かって自然光が差し込むように設計し、通りを歩く人が思わず視線を向けたくなるような明るい印象を目指しました。

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内装には、床材として幅広の無垢杉板を採用。木材を使うことで、温もりと地域性の両方を表現しています。


壁や天井も自然素材で仕上げ、「木の香り」「光の柔らかさ」「人の気配」が調和する空間に仕上げました。

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1階はカフェ、2階はこれまで通り住居スペースとして活用。南部さんの想い出の場所でありながら、新しい人の暮らしと営みが交差する場となりました。

 

リノベーションを終えた店舗には、地元で活動する若いご夫婦がピアノ教室をオープン。

通学路を通る小学生たちが「こんにちは」と声をかけてくれたり、
バス停で待つ人が軒先でひと休みしたり、地域の風景の中に自然と溶け込む場所になりました。

近隣の方からも「前は通るのが怖かったけど、今は気持ちが明るくなる」「夜でも灯りがあると安心」といった声が届くようになりました。

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活用を考える方へ

このプロジェクトを通じて、私たちが強く感じたのは、「空き家を街の一部として考える」ことの大切さです。

空き家というと、どうしても「人がいない」「閉ざされた存在」という印象があります。

しかし、今回のようにフェンスを取り払い、光と風、人の動線を取り戻すだけで、街全体の雰囲気が一変します。

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建物を再生するということは、単に修繕することではなく、
“まちに開く”ことで再び人との関係を取り戻すことなのだと実感しました。

「もう古いから無理かもしれない」「解体しかない」と思っている建物でも、視点を変えれば新しい役割を見出すことができます。


特に角地や通りに面した建物は、ほんの少し“開く”だけで、街を明るくし、人を惹きつける場所になります。

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空き家を活かすということは、単なる資産運用ではなく、“まちの未来に参加する”という行為でもあります。

三島市空き家活用ラボでは、所有者の想いと地域の魅力をつなぎ、それぞれの建物に合った活用の形を一緒に考えています。

壱町田のこの小さなアパートがそうであったように、あなたの空き家にも、きっと新しい物語が眠っています。


私たちは、その物語を再び動かすお手伝いをしていきます。

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